西尾塁の日記

西尾塁オフィシャル日記

ペンペン草の根なし草

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明けまして53日目。

図書館で次の題材の勉強に行ってたら、

ブワッと炎を感じる名前とジャケットが

目に入る。

もちろん大好きな五社英雄監督の

人物像や俳優、スタッフが思い出を語る。

なかでも嬉しかったのが、

 

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僕が10年ほど前から撮影所で

役者としてとても鍛えてもらった

吉田啓一郎監督のインタビューが入っていた。

 

1980年代後半から何作か

吉田啓一郎氏は五社組の助監督を

やっていたんですね。

その後、もちろん吉田監督は数々の名作の

メガホンを持つ方になるのです。

昔話として数々の逸話が語られた

インタビュー文章は僕の心を暖かくさせた。

 

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2014年〜最終期の吉田監督に

僕はテレビ時代劇の芝居でよく呼んでもらい、

現場で弾ませてもらった。

70歳を超えられていたが、

ひと言で言えば「鬼軍曹」

顔と出立ちがめちゃめちゃ怖い。

昭和のヤンチャな不良監督。

「おぅ〜けぃ〜!!」

「ヨォ〜〜〜っ!!」

と本番テイクのカットをかけてくださる。

あの声が、、、

あの鬼のように響きわたる声が

優しく、切なく、愛を感じ、

とてつもなく、スッキリする。

 

しかも、鬼の吉田組は

芝居が出来る俳優しかキャスティングされない

と噂が高かったので、

共演させてもらう俳優さんたちは

強豪。名高いのは当然、

さらには僕が憧れていた人ばかり。

その相手の役どころを与えてくれた。

皆さん凄かった。

強かった。

人間の懐の深さと共演者に対しての

暖かさがすさまじく、

精神を向上させてもらった感覚が毎作。

 

今でも覚えている

吉田啓一郎監督の

打ち上げでのひと言。

「ルイ!お前は思っていたより遠慮してる。

芝居が大人しいな。。。」

グサっときた。。

酔っ払っていたけど、グサっときた。

自分に足りないものがある。

 

芝居はドキドキする監督とやりたい。

出る数は少なくても良いから

これからは心が動く監督と限定したい。

 

そして、

自分がインディーズ映画監督として

骨身を削ってくれる俳優、

本当の意味で共闘してくれるスタッフと

正面に立ち、

彼らの心を揺さぶり

観客が待っていた!と喜びのある、

その後の人生に何らかの影響がある

作り手になりたい。

人情、義理は大切だし大切にしたいが、

もう、恩返しは考えない。

素晴らしい演技、素晴らしい映画

を自分自身の感覚で追求する人生に決め、

全うできるよう精進する。

「俺もそうありたい!」

あの吉田啓一郎監督の

現場での響きわたる声が

僕を今でも奮い立たせてくれる。

 

齢40歳、西尾塁。